平和都市モンゴリアンダイナマイト

映画の感想を1割と自分語り9割なので評価の参考にはなりませんが、読んで欲しい。 致命的ネタバレはしないように気をつけてます

三銃士(1973)

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三銃士の映画化作品の一つで、コメディ寄りの作風ながら演者の重心を感じるリアルな剣劇や精巧な美術が至る所に見られる非常に五感が楽しくなる作品。出てる俳優がめちゃくちゃいい演技しまくるんですよね。

 

 

 

弊社では先月から4ヶ月間、「三年目社員研修」が始まっている。久しぶりに同期の顔を揃って見て、とってもホッコリする研修。割と研修内容はキツいんだけどね。

で、研修の手始めに偶然社内にいたインターンシップ生に弊社の業務内容をプレゼンするイベントが発生した。各々配られた資料をもとに数日かけてパワポだか資料だかを準備して1人づつ担当の部分を発表する。俺は割とそういうの得意だからうまく行ったけど同期の1人でなかなかいい感じにならなかったやつがいた。なんかとにかく漢字というか少し珍しい言葉の言い回しがわからないみたいで、資料を音読していても途中ゆっくりになったり語尾が上がったり、疑問感情が声に出てしまっていた。読んでる資料もなんか難しめの当たってたからなあ。

この人、俺より頭いいはずだけど国語はめちゃくちゃ苦手だったんだな…と思うなどしていると、部長に「君はあまり昔から本とか読まなかったでしょう。なんかわかるよ」って笑いながら言われてた。

ここで思い出すのが自分が保育園児〜小学生の頃の話。

 

拙者が5歳当時の我が一家は父母俺の3人でマンションの一室に住み、両親はまだ離婚してないどころか共働きではなく母は専業主婦だった。19時には全員で食卓につき、テレビを見ながら飯を食ってそのあと親父と俺は2人で風呂に入り、21時にはそのまま2人で寝室で眠るとかいうクソ模範的一般家庭だったけど母は多分毎日25時くらいに寝ていたと思う。だから寝室はいつも俺と親父しかいないイメージだった。朝になると3人になってるんだけどね。

俺は自分でもファザコンか?と思うくらい親父が好きなんだけど、多分理由はこの21時くらいのルーティーン。(最近流行の言葉なので使ってみました。)毎日布団に入ってから寝るまで親父に本を読み聞かせてもらうのが習慣で、1日の中でもかなり楽しみのイベントだった。俺が園児の頃に読んでもらっていたのはもちろん絵本。「アサガオの冒険」的な名前だったかな、アサガオの根から吸収された土の中の水分が主観でアサガオの中を進み最後には蒸発して雨となり地面に降り注ぐ話が結構記憶に深く残っている。あの絵本マジ最高すぎる。超面白い。

で、小学生に進学すると「小学一年生」という漫画雑誌を購読し出して、絵本に飽きた俺はなぜかこの雑誌の漫画を音読してもらっていた。や、割と漫画を音読してもらうのは楽しかった。でもこれは親父があんまり楽しくなかったのか、長く続かなかった。

漫画雑誌読み聞かせがほんの数ヶ月だけ続いたある日「これ読むか」と親父が袋から出したのが「ニルスのふしぎな冒険」という小説。子供向けの絵本じゃなくて普通に文庫本。今調べたら294ページあった。文字しか書いてない本は大人だけが読むものだと思っていたし、本を開いてみても「文字の山」としか認識できないから完全な未知の物体。でも不思議と「マジでこれ読むの?」みたいなことは思わなかったしむしろこれから始まる長旅にワクワクした。子供の頃ってなににでもワクワクできたよね。面倒臭いという感情が存在しないんだよな。いいよな。

案の定読み聞かせてもらうとどんどん夢中になってしまった。

文庫本の読み聞かせだから一冊終わるのに何ヶ月かかったか…2ヶ月くらいかな?一日五ページと考えるとそのくらいかな。わからない単語や言い回しが山のように出てくるけど、親父は全部それを説明できるから完全に理解して読めた。(これは読めたというのか?)

バブル時代を20代30代で通過した親父は喋りに慣れており、学生時代からバーのボーイやよくわからん水商売を転々としおわるまで、巧みな話術で女をひっかけては毎日のようにホテルへ行きSEXしていたせいか朗読も上手い。

 

乳を揉んでた父の音読 yo

舐めるマンスジ 今じゃ活字 

pettingしてく性感帯 よりreadingする明朝体

アーイ

 

で、ニルスのふしぎな旅が読みおわってどうなったかというと、俺はニルスのふしぎな旅の二周目を希望し、もう一度2ヶ月かけて読んでもらった。なんかもう解説なしで全部わかるのが楽しかったし、全く色あせない面白さで完走し直せた。小学生って何故かアニメの同じ回を物凄い回数見るよね。

で、流石に3周目には入らなかった。小学1年生の俺としては3周目上等なんだけど、親父としてはもう飽きたらしい。2度目の"あとがき"を読み終わったあと、「明日は新しい本を読むか」と別の本を取り出した。この読み聞かせ、俺が眠るまで本を読むのが流れだったため「まだ寝てないからもう新しいの読んで」とせがんだのを覚えている。さてこれがかの有名な、当時50になる親父らしいセレクトの小説「十五少年漂流記」である。死ぬほど面白いんだよなこの本。

十五少年漂流記はニルスの不思議な旅と違って人間のドロドロとした感情が渦巻く話だった。ニルスに出てくる悪役のような存在はなにかしら動物だったり、序盤はわがままなニルス少年本人だったりする。しかし十五少年の悪役は内ゲバで対立した少年グループの一員だった。人間と人間同士の抗争。小学1年生で読む漫画に出てくる不良少年キャラとは違い、生々しい悪意があって、俺は作品のキャラに対して悪態をついたり逆に善性の強いキャラを褒めたり…なんか感想を言うようになった。なんか今思い出すとあそこでモリモリと脳が発達してた気がする。映画好きなのも多分あそこの経験のせいだ。

感想を言うのがめちゃくちゃ楽しくて、それに気づいた親父が朗読を中断して感想を言うタイミングを設けたりすることもあった。大体は悪役のドニファンの悪口だった気がする。

このあと宝島も読んでもらったし、フランダースの犬も呼んでもらった。フランダースの犬は結構な箇所で親父が泣いてまともに朗読できてなかった覚えがあるから内容全然覚えてない。

とまあ、何が言いたいかというと、こういう経験って本当に大事ですよね。と。

小学3年生くらいから俺はもうガンガン自分で本を読むようになって、初めて1人で読んだ本は図書館で借りた三銃士。感想文を書くのも楽しかった。周りの男子の多数は本を読むことと感想を書くことを課題や宿題と捉えていたけど俺は普通に楽しんでたなあ。この一度しか三銃士の本を読んだことないけど内容は未だにはっきり覚えてて、ミレディはとんでもない最悪の悪女であることもしっかり記憶に刻まれている。夢中で読んでましたね。"感想は言うのも見るのも楽しい"というのにも早い段階で気づけたのは朗読のおかげだと思うし、結婚する予定ないけどもし子供できたら俺もこれ真似してやりたいと思います。

とここまでこの記事を書いて、そういえばこの文庫本読んで貰うのってどのくらいの人がやってもらったことあるんだろうなんて思ってTwitterでアンケートとってみたらこれ、こんな感じになった。

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なんかもっと多いと思ってた。世間的には文庫本ってあまり朗読しないんですね。めちゃめちゃ楽しいのに…

皆さん子供ができたら是非なんか厚めの本を、朗読してあげてください。子供がめちゃくちゃ楽しめます。

 

 

 

おわり